【FRED】パリのジュエリーブランド、フレッド

【FRED】パリのジュエリーブランド、フレッドの歴史やデザインについて

パリで設立した宝飾店フレッドは、創業以来王侯貴族やハリウッドスターなどに愛されてきた、ジュエリーブランドです。詩人のジャン・コクトーによるデザインや、ケイト・モスとのコラボレーションなど個性的なジュエリーを誕生させてきたことでも知られます。セーリングを愛した創業者の情熱を引き継いだ「フォース10」ブレスレットをはじめとする、素晴らしい作品を生み出したフレッドの魅力を探ってみましょう。

FRED(フレッド)の歴史

FRED(フレッド)は、1908年にアルゼンチンで生まれたフレッド・サミュエルが創業したブランドです。宝石の取引業を営む一家の元で育ったフレッドは、父の援助を得て16歳でパリに渡ります。パリでは宝石や真珠を取り扱う会社で修業を積み、1936年にロワイヤル通り6番地に宝飾店をオープンします。画家ベルナール・ビュッフェや詩人のジャン・コクトーなど著名な芸術家にデザインを依頼し、多くの名作を誕生させてきました。ハリウッドスターなど著名な女優達にも愛され、顧客にはマレーネ・ディートリッヒやグレース・ケリー、カトリーヌ・ドヌーブなどが名を連ねました。 フレッドは渡仏後も、かねてからの趣味であった水上スポーツを楽しんでいました。休日の午後には、川でボートのローイングを行っていたといいます。彼の情熱は後に息子達に引き継がれ、ヨーロッパのセーリング選手権に出場するまでに成長しました。 フレッドは後に日本の養殖真珠に魅了され、真珠の専門家としてトップクラスの真珠を取り扱うようになります。優しいピンク系のパールは、フレッド特有のカラーとして有名になりました。 1950年代に入ると、ネパールの王族から宮廷で着る民族衣装サリーに合わせるジュエリーの製作依頼を受けます。これを機に、フレッドはカラーストーンへの情熱を注ぎ始めたのです。サファイアなどのカラーストーンをふんだんに取り入れ、サリーの生地であるシルクの質感に似た繊細な色合いを表現したジュエリーを制作しました。 1966年には、水上を航海するヨットから着想を得た「フォース10」ブレスレットを発表します。ヨットのケーブルとシャックルがモチーフで、異素材とカラフルな色を組み合わせたカジュアルかつ優雅なスタイルのコレクションです。 1976年にはモナコにブティックをオープン。フレッドは記念パーティでモナコ王妃のグレース・ケリーと対面します。フレッドがデザインした指輪を着用していた王妃は、「この指輪が大好きで、いつも着けています。」と伝えたといいます。 1977年、105.54ctという大きさのイエローダイヤモンド「Soleil d’Or(ゴールドの太陽)」を発表します。世界有数のファンシーカラーダイヤモンドとして称賛されました。 1979年には「The Fredy’s」を発表、1980年代に大ヒットしました。パールの顔にゴールドやエナメル製の体をしたキャラクターのデザインで、それぞれが個性的で可愛らしく、動きのあるフォルムが特徴的です。 1995年には、パリを拠点とするコングロマリットLVMH(モエヘネシー・ルイヴィトン)の傘下となります。 2011年にはケイト・モスとコラボレーションしたコレクションを制作します。ケイトの手首にある錨(いかり)のタトゥーから着想を得たピアスとネックレス、ハートや星型にカラーストーンを配したリングを発表しました。

フレッドジュエリーのイメージ

フレッドが展開するジュエリーは、フランスの高級リゾート地コート・ダジュールの眩しい太陽と澄んだ海を思わせる、カラフルかつゴージャスなイメージが特徴的です。マリンスポーツを愛した創業者の情熱と、王族や富豪のために制作した確かな技術と高いデザイン性が生かされています。 宝石商の息子として育ったフレッド・サミュエルがパリに設立したブランド「フレッド」は、創業以来世界各国のメンバーやハリウッドスターなどが顧客として名を連ねてきました。 ブランドの設立当時、創業者のフレッドは自分自身を「現代的で創造的なジュエラー。」と表現しました。パールへ情熱を注ぎこみ、彼が養殖したクリーミーなピンク色の真珠は「フレッドカラー」と呼ばれて注目を浴びます。 パリ本店の前には高級レストラン「マキシム」があり、この界隈を訪れる富裕層によってフレッドの評判が高まりました。画家のパブロ・ピカソも訪れ、顧客であったベルナール・ビュッフェ、詩人のジャン・コクトーはフレッドからジュエリーのデザインを依頼されます。 フレッドは王室のジュエリー制作も行ってきました。カラーレスダイヤモンドに飽きたブルネイ王妃には、イエローやピンクといったファンシーカラーダイヤモンドを探したといいます。モナコのモンテカルロにはブティックをオープンし、モナコ王室のために素晴らしいジュエリーを制作しました。さらにアラブの富豪らも顧客となり、特別注文された豪華なジュエリーを誕生させました。 創業者のフレッド・サミュエルは、ミキモトの養殖真珠に魅了されたことをきっかけに、パールのジュエリー制作に力を入れ始めました。素晴らしい作品を発表し続け、パールのエキスパートとまで呼ばれたほどです。 マレーネ・ディートリッヒやカトリーヌ・ドヌーブなど、著名な女優達もフレッドのジュエリーに魅了されました。 フレッドのジュエリーは、映画『プリティ・ウーマン』で使用されたことで知られます。オペラハウスへ出かける前、リチャード・ギア演ずるエドワードが、ジュリア・ロバーツ演じるヴィヴィアンの首にかけてあげるネックレスです。ダイヤモンドで囲んだペアシェイプのルビーを、23石も連ねた豪華なネックレスでした。現在フレッドでは、ハートシェイプのルベライトを連ねたネックレスを「プリティ・ウーマン・ネックレス」として販売しています。 マリンスポーツから着想を得た「フォース10」は、フレッドの代表作として発表以来変わらない人気を得ています。ステンレススチールとゴールドという革新的な組み合わせと、ヨーロッパの高級リゾートでのセーリングを思わせるデザインは、男性も着用できる洗練したジュエリーとして大ヒットしました。

FREDのデザインについて

フレッドでは、メゾンの伝統にモダンを取り入れた洗練したデザインのジュエリーを発表してきました。フレッドの代表的なコレクションと、デザインの特徴や魅力についてご紹介していきます。

フォース10

【FRED】フォース10

1966年に発表されたアイコニックなデザインです。ステンレススチールをゴールドと組み合わせ、ヨットのケーブルとシャックルをイメージしたもの。カラフルなステンレススチール部分は付け替え可能で、重ね着けなどさまざまなコーディネートを楽しめます。高級感がありながらカジュアルにも着こなせ、ユニセックスで着用可能です。

シャンスアンフィニ

2016年にブランド創業80周年記念として発表されました。永遠や無限を象徴する連珠形をモチーフにした、モダンな印象のコレクションです。緩やかなラインを描いたミニマルなフォルムに、ダイヤモンドやルビーを配した繊細なデザインです。永遠と幸運を祈るラッキーアイテムとして、毎日着用することができます。

サクセス

ラウンド型とスクエア型を組み合わせた、スタイリッシュな印象です。丸いフォルムを直線で引き締めて、颯爽とした印象が漂います。2つのフォルムを合わせたデザインには、調和という意味が込められています。異素材の組み合わせやダイヤモンドを配したデザインで、現代的なイメージを象徴しています。

パンドゥスークル

シュガーローフカボションのアメシストやトパーズなどを配したデザインです。インターチェンジブルとして、カボショントップ部分を交換できます。高技術のクラフトマンシップにより、宝石の美しさを際立つカットが施されました。カボショントップは厚みのあるタイプとフラットなタイプの2種類で、カラーストーンの種類も大変豊富です。

ユニルドール

ゴールドモチーフを繊細にレイヤードして、太陽のような眩しい輝きを表現しています。ゴールドが波打つように重なり、艶やかでゴージャスな光沢を放ちます。ダイヤモンドを配したデザインなど、高級感あふれるデザインが特徴的。素肌の上で健康的に煌めき、高級リゾート地の強い日差しを受けるような印象です。

ベデゾンジュ

創業者フレッドが魅了された、パールの美しさを生かしたデザインです。バロックパールをゴールドのラインで包み込み、華やかな輝きを主張しています。ドロップ型イヤリングやステーションネックレスなど、1石ずつの魅力を引き出したスタイルが印象的。ピンクオパール、ラピスラズリ、ターコイズなどのカラーストーンも揃っています。

オンブルフェリーヌ

交差したレオパード(豹)の前足をモチーフにしたコレクションです。1976年、モナコにオープンしたブティックの記念パーティで、モナコ王妃のグレース・ケリーがオンブルフェリーヌのリングを着用していました。この思い出に敬意を表した作品が、現代へも引き継がれています。ブラックラッカーにダイヤモンドを配したものと、パヴェダイヤモンドを配したデザインが揃います。

FREDジュエリーの人気リング

フレッドでは、厳選された高品質のダイヤモンドやカラーストーンを配したリングを発表しており、ソリティアダイヤモンドの指輪は婚約指輪としても人気があります。フレッドを代表する、4つの人気リングのコレクションをご紹介していきます。

フルール セレスト エンゲージメントリング

プラチナ素材のストレートのアームにダイヤモンドを配した婚約指輪です。ダイヤモンドを花びらに見立てたプラチナで囲んだ、可憐なデザインです。ダイヤモンドの周囲とアームにメレダイヤを配したデザインも展開しています。

平均価格
ダイヤモンドのカラット別とグレードで価格が異なります。0.7ctと1ctはメレダイヤを配しています。
0.3ct 385,000円~。
0.5ct 687,500円~。
0.7ct 1,188,000円~。
1ct 2,084,500円~。

地金と宝石の種類
プラチナ、ダイヤモンド。

フォース10 エンゲージメントリング

フレッドを代表する「フォース10」コレクションの婚約指輪です。4本爪で留めたダイヤモンドを配し、アーム全体に繊細なツイストを入れたフォルムです。アーム全体にはメレダイヤモンドが配され、輝きが大変豪華です。

平均価格
ダイヤモンドのカラット別とグレードで価格が異なります。
0.3ct 445,500円~。
0.5ct 627,000円~。
0.7ct 979,000円~
1ct 1,628,000円~。

地金と宝石の種類
プラチナ、ダイヤモンド。

デルフィーヌ エンゲージメントリング

スリムなアームに一粒ダイヤモンドを配した婚約指輪です。センターのダイヤモンドは花弁のようなモチーフの台座にセッティングされています。アームにはダイヤモンドを配した、ハーフエタニティです。

平均価格
プラチナ×ダイヤモンド
0.2ct 255,750円~。
0.3ct 361,900円~。
0.5ct 624,250円~。
0.7ct 995,500円~。
1ct 1,925,000円~。

プラチナ×ピンクゴールド
0.2ct 260,700円~。
0.3ct 335,500円~。
0.5ct 629,200円~。
0.7ct 1,028,500円~
1ct 2,079,000円~。

地金と宝石の種類
プラチナ、ピンクゴールド、ダイヤモンド。

パンドゥスークル

宝石が配されたトップ部分を自由に取り換えることができる、カラフルで大胆なデザインです。宝石は厚みのあるシュガーローフカボションとフラットなタイプから選べます。宝石はカラーストーンからダイヤモンドなど大変豊富。ミディアムモデルとラージモデルの2種類から選べます。

平均価格
リング 680,900円~。
取り換え用トップ/フラット151,800円~、カボション124,300円~。

地金と宝石の種類
18Kイエローゴールド、ホワイトゴールド、ピンクゴールド。
アメジスト、スモーキークォーツ、ブルートパーズ、コーネリアン、カルセドニー、ピンクトルマリン、プラシオライト、ラピスラズリ、ルベライト、ホークスアイ、マザーオブパール、ダイヤモンド。

最後に

メゾンの伝統にモダンな要素を取り入れたフレッドのジュエリーは、どんなファッションにも合い、タイムレスで装える魅力を備えています。 自由に取り換えできるインターチェンジブルのデザインは、装いや気分に合わせたコーディネートを楽しむことも可能です。婚約指輪やプレゼントとしても人気が高いブランドです。フレッド10は男性用としても人気ですので、特別な日のプレゼントとして選んでみてはいかがでしょうか。

資格会員ディプロマ FGA 依田 優子

この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
依田 優子

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